「主人公」は誰?

中学の学園祭で、わたしたちのクラスはお芝居をすることになった。演劇公演である。
演目は『王様の耳はロバの耳』。なんともベタな演目だが、ともかくも、まずはキャスティングを決めることになった。
そこで、さっそく問題が生じたのだ。
この『王様の耳はロバの耳』という作品において、誰が主人公なのか、ディスカッションになったのである。
まず、タイトルロールの「王様」が主人公だ、という意見が出た。が、当然反論が出る。
主人公は「王様」ではなく「床屋」だろう、と。
しかし「王様」を主人公だと言い張るグループも再反論する。いわく、主役がタイトルに来るのは世の習いである。それは『ドラえもん』を見ても分るだろう、と。
が、「床屋」を主人公と言い張るグループは、そもそも『ドラえもん』という作品の主人公は「ドラえもん」ではなく「のび太」である、と……。
議論が白熱化してきたところで、ある一人のクラスメートがポツリと一言。
「もう、『ダブル主人公』ってことにしとこうぜ」
そのクラスメートこそ「主人公」にふさわしい……と、私は思ったのであった。