ストイックなサークル

私は大学時代、将棋のサークルに所属しておりました。将棋というと堅苦しいイメージだと思いますが、実際にはサークル用の部屋でのんびりと将棋を指す毎日でした。はっきりとした活動日があるわけでもなく、今思えば将棋の打てる暇人の溜まり場であったようにも思います。
私はというと、対局よりも棋譜を読む時間の方が長いような部員でした。真面目に強くなるための研究をするような仲間もおらず、皆ただ将棋を打っているような状況だったので私は特異な目で見られておりました。そんな中、ただ一人棋譜について話してくださる先輩がいらっしゃったのです。その方は昔奨励会に入ることを検討していたとのことで、サークル内でも飛び抜けて棋力のある方でした。ですので、あまり周りも相手にならず私と同様棋譜を読んでおられる時間が長かったように思います。
そんな先輩との思い出は、先輩が卒業され大学を去られる日のことでした。「一局やろう」そう私に言って、将棋板の前に座られました。それまで私は恐れ多くて、先輩と対局したことがなかったのです。震える手で駒を置き、結果は私の惨敗。しかし、先輩は「ありがとう、四年間で一番楽しい対局だった」と言ってくださいました。
これが私の大学時代の一番の思い出となり、今も心に大きく残っています。ストイックなサークルでの、私の熱い青春の一ページです。