パンダ伝説

学生の時は貧乏で、様々なアルバイトをしていました。
周りの友人達も同様で、アルバイトについての情報交換を良くしたのですが、「あのバイト、こうらしいよ」という噂話を沢山聞きました。
無論、真偽の程は判りません。
その中から、個人的に面白いと感じた話を1つご紹介したいと思います。

■着ぐるみは死んでも脱ぐな

遊園地、テーマパークで、着ぐるみを着て接客するバイトがあります。
場所によっては、バイトに対する要求が厳しく、「客の前で、絶対に着ぐるみを脱ぐな」と言われるそうです。
ましてや、自分の声で「喋る」なんて厳禁です。
このルールは絶対で、破った場合はバイト代は支払われない・・・。
まぁ、イメージが重要と言う事なのでしょう。
しかし、要求が厳しい分、時給も良いので、人気はかなり高いのだそうです。

着ぐるみを着ると、内部は高温、高湿度となって、夏場などは頭がクラクラして来るらしいです。
しかも視界が悪く、足元も危うい。
人気物のパンダの着ぐるみを着たアルバイトの人は、喜んだお客さんに園内を連れ回され、ふと気が付くと、自分の持ち場から遠く離れてしまっていたそうです。
必死で辺りを見回し、広い園内を右往左往しても、どんどん迷子になるばかり。
でも、誰かに「道を聞く」ワケにもいきません。

途方に暮れて、ベンチに座り込んでいたところ、通りがかりの女性客に「可愛い!」と大評判。
暗い気持ちで動けなくなっていたら、事態を察したスタッフの女性が助けに来てくれたのだそうです。

しかし・・・。
普通に喋れない以上、どうすれば良いのか?

困った二人は、しばらく無言でベンチに座っていたそうです。

そして、前を向いたままスタッフ女性が、明るい声で、

「パンダさんは・・・迷子さんになっちゃったのかな?」

巨大な頭部で、こっくりと頷くパンダ。

その後、園内で、

スタッフのお姉さんに手を引かれて歩くパンダ

が目撃され、「可愛い!」と大評判。

しかし、「中の人」は、二度と着ぐるみバイトはしなかったそうです。