仕事を通して恐怖を知る

水道、空調関係の工事会社にアルバイトとして雇われていた時の話……というか、そこから得た経験則的なお話になるでしょうか。

その時の私はまだ10代の青二才(いや今でも青二才ですが)でありまして、こういう工事関係の業者さんは現場で多少の危ないことでも平気の平左でちょちょいとこなすのであろうと、漠然と思い込んでいたのです。
しかし現実として、素人では気づかない少しでも怪我のしそうな場面や事故を起こすきっかけをすぐさま察知して「おいそこ危ないぞ」と注意してくれるもんなんですね。いやこれは当然ではあります。

私として衝撃というか、驚いたことは「そこ怖いぞ」「しかしそういうやり方はちょっと怖いな」など「怖い」という単語を日常的に使うということでした。
これに接するまではは業者といいますかプロのプライドとしてなんとなく「恐怖心」なんてものを持っているのは恥ずかしいことなんじゃないか?と子供心に思っていたのですが、逆なんですね。経験を積んで、失敗や怪我をした時にどれだけ大変なことになるか、痛い目を見るか、下手をすると一生ものの障害を負うか……そういうことを知れば知るほど、怖さを知る。怖さとは日常的に隣り合っているものなのだ。仕事というのはそういうもんなんだ、と。そういうことを漠然と感じ取りました。
本当のプロっていうのは、根拠のない自信や技術でプロフェッショナルなのではなく、経験と失敗を知っているからこそのプロなんだなぁ、と今では思います。