居眠り厳禁の実験の話

大学では水と泥を使った実験をしていました。水中の目に見えないほど小さな土粒子や金属片が時間経過と共に沈殿していく様子、その現象を各種センサで測定して解明していくというもので、そのときの実験がアメリカのドラマ「LOST」と同じでした。

何が同じかというと1時間おきにポチッとスイッチを押さなければいけなかったのです。ドラマでは何時間毎だったか忘れましたけれど、とにかく押し続けないと正確なデータを測定できない仕組みになっていました。1回でも押し忘れると実験が失敗に終わってしまうのです。本当は研究室にもう少しお金があれば24時間自動で動く装置を設置できたと思います。しかし現実はそうではなく、少ない予算配分から私が自力でつくったハンドメイドの測定機器だったので仕方がありません。

このことによって私がその実験をするときはいつも週末で、しかも毎回のように徹夜でした。大きな実験室でただ一人深夜のラジオを聞きながら1時間に1回必ずボタンを押し、コーヒーを飲んだりインスタントラーメンを食べながらボーッと過ごしていました。夏休みに10日間連続で行ったこともありますがさすがにそのときは同じ研究室の暇な仲間にも頼みました。

時には友人が朝まで一緒にいてくれたり、外国人留学生が私が居眠りしないか心配してくれて話し相手になってくれたりと、実験は大変でしたがこれはこれで楽しい時間を過ごすことができました。他にもたくさんの実験をしましたけれど、1時間に1回ボタンを押さなければならないこの実験だけは私の中で最も強く印象に残っています。