屋台での哲学的体験

学園祭での思い出といえば、焼きそば屋台での体験談があります。
ぼくらのクラスが、焼きそばの屋台を出したんです。
それで、焼きそば自体はとてもおいしくできたんです。ソースもいいソースだったし、とっても香ばしく仕上がったんですよ。
お客さんも「おいしい、おいしい」って、みんな喜んでくれました。
そんな時。
屋台で作業していた同じクラスの友人が、急に言い出したんです。
「もう焼きそば焼くの、飽きちゃった」って……。
いや、「飽きた」って……そういう問題じゃないような……。
「焼きそば屋台は中止して、焼き肉屋台にしよう!」
そんなことを言うんです。ぼくはすかさず反論しました。
「そんなこと急に言ったって、焼き肉の材料なんかないだろ!」って。
が、友人は涼しい顔で。
「あるよ」
友人はそう言って、焼きそばの具に使っていた豚肉を指し示しました。
確かに「焼き肉」には違いないけど……。
「けど……『タレ』がないよ……」
ぼくがそう言うと、友人はこう返す。
「あるじゃん。焼きそばのソースが」
「うーん……」
はたしてそれは「焼き肉」なのだろうか。「焼きそば」からそばと野菜を抜いたものではないのだろうか。しかしそれだと、既に「焼きそば」ではないわけだ。肉を焼いてるわけだから、確かに「焼き肉」なのだ!
ものの「定義」というものに関して、はからずも考えさせられた体験でありました。